【前回までのあらすじ】
ヤンジャンで新人賞を受賞した新人漫画家の私は、編集者Yさんと全く折り合いがつかず、いつまでたっても先に進めず、8か月ほどネームが全く通らない時期をすごした。
そして、ついに心が折れた私は…!
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最後の無念のネーム没から一週間、Yさんに「少し休みます」と伝え、私はいったん冷静になろうと思って一人で色々考えていました。
客観的に見て、たぶんYさんと漫画に対する感覚が合っていないと思う。
なぜなら、私は自分が面白いかもわからずに、ただただYさんに通すためだけの漫画を描いてしまっていた・・・。
自分の視野が狭くなっていて、Yさんの反応しか見れなくなって、面白いものが自分ですら分からなくなって自滅してしまった。
だから・・・これを解決するためには・・・
Yさんには申し訳ないけど、一度Yさんの意見を取り入れない自分だけの漫画を描いてみよう。
Yさんにネームを通すためじゃなくて、自分が心から面白いって思うものを自分だけで描いて。そして自分だけで描いた作品に客観的意見をもらうために、その作品をいろんな編集部に見せに行こう・・・
・・・一応契約とかは無いんですけど、業界の暗黙のルールとして、新人賞を受賞した作家はそこの出版社で描くのが義理です。
将来に期待を込めて拙い原稿に対して多めにお金をもらっているので、出版社に恩返しすべきだし、そうすることで信頼関係は築かれてゆきます。
なので、私みたいに新人賞で何十万もお金貰ったくせにすぐ他社へ持ち込み行く人間は、編集部からしたら迷惑だと思います。引き留める権利はありませんが絶対にいい気はしないです。
でも、新人漫画家には、時にこうせざるを得ない理由が3つあります。
①新人漫画家は担当編集を選べない
②担当編集を新人漫画家側から変えることはできない
③漫画家はネームが通らない限りずっと無職
①ですが、これは昔から言われているやつで、
出会った編集者が自分に合ってるかどうかは完全に運です。
編集者との相性が良ければ大ヒット作が生まれることもありますが
編集者との相性が悪ければ漫画がとにかくめちゃくちゃになります。
最近は講談社のデイズネオをはじめとした編集者を漫画家側から選ぶマッチングサービスのおかげでこの問題は良くなったらしいですけど、私的には、編集者との相性なんてネームを数回やり取りして何度か打合せしないと分からないものだと思います。
例えるなら、マッチングアプリで、最初めっちゃ可愛い女だと思ってたんだけどデートしたら思ったより微妙だった…みたいな…(たとえ最低ですみません)
②ならば編集との相性が悪い場合どうするかという話なのですが、解決策としては
編集部に担当編集替えを申し出るということがあります。
しかしこれは大御所作家やヒット作家ならできるかもしれないことで、何の実績も無い新人漫画家は立場的にまずありえないです。
担当編集者に「あなたではダメなので担当を変えてほしいです」って言うってことですからね・・・・そんなこと底辺漫画家には恐ろしくて、想像しただけで委縮してしまいます! というわけで現実的な解決策はではないです。
③漫画家は漫画を描かせてもらえない限り無職
ネームがずっと通らない(=漫画を描かせてもらえない)状況というのは、どういう感じかというと、
例えるなら、長くて暗くてゴールが分からないトンネルを、ずっと罵声を浴びさせられながらひたすら歩いてるっていう表現がぴったりです
道中で罵声を浴びせてくるのは編集者だったり内なる自分だったりします
最初は前向きに「大変だけど、歩いてさえいればいつかはゴールにたどり着くんだ。がんばるぞ!」と楽しめる人でも、長く続くとやがて絶望に変わってゆきます
まあそんな理由で、このままでは腐ってしまうと思った私は、自分一人でネームを完成させ、他の出版社へ持ち込み営業へ行きました。
あの状況を打破するには、もうそうするしか無かった・・・。
一応、持ち込みネームは、持ち込みに行く前にYさんにも見せました。
しかしやはり没っぽい雰囲気だったので(分かってた)、どうせ持ち込みに行くなら沢山の編集者の意見を聞いてやろうと思い、青年誌を中心にとにかくたくさんのところへ持ち込みに行きました。
持ち込みネームの内容としては、ファンタジー風味のオフィスラブコメで、
のちに「恋する空中魚」っていう名前で出たものです。(あとで載せます)
【持ち込んだ先と、言われたこと】
①アフタヌーン
何が面白いのかさっぱり分からない。
少しも面白いところを見つけられませんでした。
これがあなたが本当に心から描きたいものなんですか…?💦
感想としては、サブキャラのタコが可愛かったっていうくらいです。
↑アフタヌーンは私みたいな作風好みかと勝手に思ってたけどボロクソ言われたので結構悲しかった(笑)
②ビックコミックスピリッツ
女がエロい!!!!!妙にエロい!!!!
ファンタジーっぽいのとか色々盛り込んでるみたいだけど、結局女が妙にエロくてそれが一番印象に残る。だから、女を見せる方向に絞ったほうがいいと思う。
これでは、どっちつかずで中途半端な感じに見える。
ファンタジーやるか、女見せるかどっちかに絞ったほうがいい。
↑
これはヤンジャンと同じような反応な気がします。
やっぱり私の女の子はエロくて可愛いみたいです。(やったー)
③ハルタ(KADOKAWA)
構成も話のフリもキャラも弱い。これ(持ち込み作品)は微妙!!
でも力はあるから、別の作品なら南さんと作りたいし、面倒見ますよ
↑
持ち込んだネームに対しては評価低かったけど、すごく熱心に私の話を聞いてくれて、私に寄り添ってくれてとても良い人でした
喫茶店で6時間くらい話してしまった…
④白泉社マンガラボ!(白泉社漫画投稿サイト)
とにかく全体を通してめちゃくちゃ褒められたし、ここをこうやって直した方がいいっていうアドバイスもすごく建設的だった。
イジめてごっこの編集さんがここで担当につきました。
彼女は私の作風が好みみたいで、またアドバイスも自分的に腑に落ちる感じで、私もこの方とはかなり相性がいいと感じました。
⑤マンガMeets(集英社女性向け漫画投稿サイト)
女の子がかわいくて、グッとくる。個性的でいい。世界観いい!
↑
やっぱり女の子が可愛いはどこでも言われる。
という感じでした。
持ち込みで印象的だったのは、
同じ作品を見せても編集によって意見が180度違うことと
自分に全く興味無さそうな編集者(態度で分かる)も居るし熱烈ラブコールしてくれる編集者も居ること。でした
持ち込みを経て作品に関して思ったのは、
やはり事実として、私の作風は読み手を選ぶものであるということ、
だけど、その中でも女の子が可愛いことだけは、割と誰でも分かってくれる。
ということでした。
持ち込みを経て以前の絶望状態ではなくなったし、視野が広がったのでほんとに良かったです。
これから自分がどうなるかは依然として分からないままだけど、少なくとも終わりじゃないってことは分かって、傷心ながらも少し前向きになってました。
その時はなんだか、失恋の後の気持ちに似てる感じでした。
あの頃は辛かったな。Yさんも私も、ただ頑張ってただけなのにな。なんでうまくいかなかったんだろ。でもやっと苦しみから解放された。
ほぼ苦しみだったけど、その中でも楽しいこともあったな・・・。あんなくだらないことで笑ってさぁ・・・。ハハハ・・・。
Yさん、今頃ほかの作家さんとうまくやれてるといいなぁ・・・。
マジでそんな感じでした。
そういう感じで勝手に感傷に浸り、気持ちの整理をしていたら、
突然ヤンジャンの副編集長さんから電話がかかってきました。
副編集長「あっ南さん?ネーム見たよ~。本誌に載せてあげるからここ直して~」
私「えっ・・・・まじすか!?わかりました!えっあっすぐ直します!ハイ!!ありがとうございます!!ハイ!ハイ!!本当に本当にありがとうございます!!」
で、掲載されました。
なんか、どうやら私とうまくいかないことをYさんも悩んでたみたいで、副編集長さんに例の持ち込みネームを見せて相談したりしてたみたいです。Yさんありがとう。
それで、ネームみた副編集長さんがじゃあこれ面白いし、載せようか、って言ってくれたみたいです。
これが、私の新人賞を受賞した後の初の読み切り掲載となりました。
2020年の12月のことでした。
漫画家界でよく言われることとして、「受賞後の読み切り掲載が一番難しい」というのがあります。
私もその通りでした。マジで少しもネーム通らなくて過去一キツかったです。
なんでこのネームが通ったのかは、分からないです。運かな…運だと思います。
多分だけど、
投稿、デビュー、連載、どういう段階でも、漫画家は運が巡ってくるまであきらめないことしか出来ないんだと思います
諦めたらそこで終わりで、諦めなかった人間だけが生き残る…
シンプルにそんな感じだと思います。
読み切り~連載へという記事もいずれ書きたいですが、
今、まだ連載してる中で言えないこともたくさんあるので
続きは初連載が終了したときにでも書こうと思います!
最近連載のモチベーションが下がってたので、このままじゃダメだと思い、自分の振り返り用にこの記事を書きました。
おかげで、改めて頑張ろうって思えました。
読んでくださった皆様、ありがとうございました!
いったんおわり★
南文夏
2022-03-31 10:44:17 +0000 UTCくおんじ
2022-03-30 12:10:36 +0000 UTC南文夏
2022-03-29 23:01:42 +0000 UTC南文夏
2022-03-29 23:01:30 +0000 UTC